探査衛星「悟空」、宇宙線電子を測定

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中国の暗黒物質探査衛星「悟空」こと「DAMPE」が宇宙線電子と陽電子のエネルギースペクトルを、これまでで最も高いエネルギー分解能で直接測定した。

【2017年12月7日 University of Geneva中国科学院

中国初の天文衛星である暗黒物質探査衛星「悟空」こと「DAMPE (DArk Matter Particle Explorer)」は、中国科学院がスイス・ジュネーヴ大学とイタリア国立核物理学研究所との協力で2012年から開始したミッションで、2015年12月17日に中国の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。探査の目的は暗黒物質の起源とその性質を理解するためのデータを集めることにある。

観測を行うDAMPEの想像イラスト
軌道上で観測を行うDAMPEの想像イラスト(提供:DAMPEウェブページ内のミッション紹介動画より)

発表された最初の科学成果によると、DAMPEは本格運用の開始から18か月間で150万個の電子とその反粒子である陽電子を検出した。そのデータから電子と陽電子のエネルギーに応じた宇宙線粒子の分布が明らかになり、粒子の数はエネルギーが低いほど多く高いほど少ないことがわかった。

また、0.9テラ電子ボルト付近において、観測される宇宙線電子・陽電子の数が減少する「折れ曲がり」が見られており、予測に反する説明のつかない観測結果となった。この折れ曲がりを理解することで粒子の起源に迫ることができると考えられ、その起源の候補として暗黒物質粒子の崩壊や消滅が挙げられている。

間もなく得られる新しいデータでは、最初の結果の10倍もの高エネルギーまで、より正確な宇宙線の電子と陽電子のスペクトルが測定可能になる。暗黒物質粒子の消滅や崩壊、中性子星などによって生じるスペクトル中の特徴が調べられるようになるだろう。

「陽電子の過多と暗黒物質の崩壊の関連性が示唆され、初データにして、すでに大きな前進を意味する成果となりました」(ジュネーヴ大学 Xin Wuさん)。

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