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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

Totality Eclipses of the Sun

表紙写真

  • Mark Littmann, Fred Espenak, Ken Willcox 著
  • Oxford University Press
  • 23.4×15.6cm、374ページ
  • ISBN 978-0-19-953209-4
  • 価格 3,071円
  • ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。

来年7月22日に奄美大島での皆既日食を控え、日食観測の準備に忙しい方が多いだろう。そんなみなさんが日食全般の知識を総まとめするのに、本書は打ってつけの本だ。3人の著者はこれまでに日食関連書を何冊も出しており(特にエスペナクの本は有名)、国際天文学連合日食ワーキング・グループのチェアマンを務めるJ.M.パサチョフが巻頭で本書を推薦しているほどである。

まず日食に関する諸データ紹介(28ページ)があり、ストーンヘンジ・マヤ・中国の古記録解説にもとづく日食に関する神秘学(宗教)や歴史的事件(27ページ)、日食観測史(71ページ)、肉眼観測法(33ページ)、写真観測法(55ページ)ときて、以後78ページにわたり今後の日食の概況が述べられる。以上でおわかりのとおり、まさしくアマチュア向けガイドブックなのだ。記事は詳細で、よくもまあここまで書いたものと思うほど。現代版日食宝典である。美しいカラー写真32枚+白黒写真多数(数えきれない)で、さらに日食中心食線図など図版も多数。来年の皆既日食に関しても、中心食線から各地の経過時刻・継続時間・食分・地平高度・平均雲量など、至れり尽せりの情報量を誇る。

日食雑学も多数仕入れることが可能。例えば、前3000年から西暦7000年までの1万年間で最長の皆既日食が2186年7月16日の7分29秒、金環日食が150年12月6日の12分24秒。中東のエルサレムでは、878年10月29日〜2241年8月6日まで、なんと1108年間も皆既日食が見られないが、ニューギニア南部では1983年6月11日と1984年11月22日、アンゴラ北部のロビトでは2001年6月21日と2002年12月4日と、いずれもわずか1年半で2回も皆既日食が見られたこと、あるいはウクライナでは7年半に3回、オーストラリアでは15年間になんと5回も見られたことがある、などの話題を日食旅行中の雑談に盛り込むと受けること確実だ! なお、統計法が不明だが、特定の市域では平均375年ごとに皆既日食を見ることができるという。

ともかく、ためになる本ですよ、本書は。

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