- W. W. Norton & Co.
- 20.3cm×14.5cm、224ページ
- ISBN 978-0-393-06574-9
- 価格 2,755円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
評者の「雑学天文大百科(非売品)」によれば、日米では天文学者数の実比率1:6、人口あたりの比率1:3、研究費の比率1:20である。対欧州でも同様だという。なんとうらやましいこと! ゆえに日本のアマチュアは英語の天文書を読まねばならない。本書評ではキザでご紹介しているのではありません。
洋書店に行ってご覧なさい。彼我の違いが歴然で「日本ではこんな本絶対に売れないから出版されないよなぁ」といえる本がわんさと並んでいる。文化としての自信の相違、売れるか売れないかできまるのではなく、内容で出版が決定されているに違いない。
確かに本書の著者はあの有名な「タイム」誌のサイエンス・ライターであり、プリンストン、コロンビア、ジョンズ・ホプキンスの各大学で教鞭をとられた人。というより、本書評で以前ご紹介した「ビッグバン宇宙からのこだま(原題 Echo of the Big Bang)」の著者だ。今度は筆先をまったく変更し、ハーシェル兄妹の天王星の発見にまつわる話である。もちろんみなさんよくご存知の通り、天王星は偶然発見されたもので、彼らの観測テーマは別のところ(銀河構造の探求)にあった。そのあたりの経緯が主題とされてはいるが、その他(例えば赤外線の発見など)当時の最先端科学への彼らのかかわりがこれほど詳細に語られた本を評者は知らない。特に本書タイトルにもなったジョージ王との絡みも、類書に比較できないほど詳細に語られている。
とりあえずこれ以上の情報をここに記すのははばかっておこう。ともかく、英語を自由に操れ、資料をほとんど無制限に閲覧できる米国人がうらやましい。本書に目をつけ、訳本の出版を計画している出版社さぁーん、ぜひ日本にいてくださぁーい。