- DK Publishing,Inc
- 四六変型判、128ページ
- ISBN 978-0-7566-1247-4
- 価格 620円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
写真集というのは写真が占める面積でいうのか、あるいは枚数でいうのか、評者は知らない。だが、本書はまごうことなく写真と判定したい。たった130ページ弱の小冊子に大小100枚弱の写真や図版が収められているのだ。
しかもその写真たるや、数多くのアインシュタイン伝記書で見かけるおなじみのものはごく少数で、大部分が初見といっても良いものばかりだ。本書はたいへんお得である。
例えば、アインシュタインの両親や妹、最初と二番目の妻、息子たちなど家族のスナップや、同窓生の集合写真、カード遊びで作った塔、物理に惹かれるきっかけとなった方位磁石、学校で使っていた定規、アインシュタインを魅了した幾何学の教科書などなどをごらんになったことはあるだろうか。さすが写真集の出版を得意とするDK社らしい本なのだ。
極めつけは、あの有名な数式E=mc2が書かれている自筆のドイツ語論文!加筆修正、あるいは線で一部を削除した手書きのドイツ語は、評者も解読できないが、その説明文には「彼の論文はしばしば乱雑で読みにくい」とある!
偉大な天才の全貌を小冊子で語り切るわけにはいかないのは当然だが、本書は廉価書として、その写真を眺めるだけでもかなりの価値があると言える。英語もやさしく、大学で科学史の副読本などとして使うのにもってこいではないだろうか。