- DK London
- 16×13.8cm、400ページ(ペーパーバック)
- ISBN 978-1-4053-1169-4
- 価格 1,954円
- ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。
都内のある洋書専門店で見かけた時、最初は購入を迷った。なぜかビニール掛けで中が立ち読みできなかったたからだ。表紙を見る限り宇宙開発の本であり、結構な価格でもある。DK社の本は当たり外れがないから、まぁいいかと思い切って購入し、電車の中でビニールを取り外して、表紙を開いたらびっくり仰天!相当な内容の天文書だったのだ。あのビニールは、いったい何のためだったのだろうか?
しかも、評者のような天文普及を志す人間には願ったりかなったりの本で、車中でパラパラめくりながら、この図は参考になると直感したページに新品の付箋紙を貼りだしたら、いっぺんにベタベタ張り尽くしてしまった! ウキウキ気分で帰宅し、すぐに読みふけった。こんな本は滅多にない。例えば、みなさん、銀河中心に対する大小マゼラン雲の軌道、なんて見たことあります? あるいはハッブルの「距離 対 後退速度」のグラフに実際の銀河スペクトル赤方偏移写真が添付されたものはどうですか? 太陽赤道の加速(表面だけでなく内部も)を示す断面図なんて見たことないでしょう?
原始状態からの太陽系の変遷図、電波・赤外・紫外・X線・γ線天文学、もちろん光学天文学も、説明が微に入り細に入りの天文百科事典なのである。もちろん宇宙探査も忘れられていない。全88星座絵の脇に、見える地域の世界地図が添付されているのも評者は初めて見た。すごく工夫されているのだ。手際よくまとめられた"Astronomical Timeline"すなわち天文年表もとても参考になる。
だが、もっとも評者に参考になったのは"Biographies"すなわち75人の天文関係者の写真(それもDK社オリジナルがほとんど)入り解説である。それぞれ小文ながら、功績が正確にわかりやすく紹介されている。
ともかくお買い得の本で、今回の書評は、辛口の書評ではなく、推薦文になってしまった。