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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

Lights in the Sky: Identifying and Understanding Astronomical and Meteorological Phenomena

Lights in the Sky

  • Michael Maunder 著
  • Springer
  • 23.4cm x 15.5cm、226ページ
  • 2007年12月
  • ISBN 978-1-84628-562-2
  • 価格 2,910円
  • ※洋書の価格は為替相場に応じて変動します。ご了承ください。

評者はかつてより、気象現象が天体観測にいかに影響するかについて強い関心を持っている。なぜなら、評者が生涯をかけている変光星観測は、大気による星の減光やシンチレーションによる測光のしにくさなど、気象に大きく左右されるからである。

ところが、その手の参考書が我が日本には皆無である。それは変光星を専門とする天文学者に今や誰も肉眼観測経験者がいないからだ。で、いっそのこと評者が書いてしまおうかと思っても売れないだろうから決心が付きかねている。でも、そんな夢が叶えられる暁には、「光象」といわれる現象がこれでもか!と説明されている本書をぜひ有力な参考書に挙げたい。

第一章から五章までは総論・光害・大気汚染・気象・視覚。第六章以降は薄明・黄道光・火山爆発・朝夕焼け・地球影・黄昏光・太陽柱・緑色閃光・ブロッケン・ハイリゲンシャイン・ビショップリング・サンドッグ・月光冠・光背・イリデッセンス(五色雲)・蜃気楼・霧虹・対日照・夜光、オーロラ、銀河光・虹・稲妻、あげくはUFOまで実に広範囲に、メカニズムや観測方法まで丁寧に説明してくれているのだ。さすが英国の天文普及家ムーア氏のシリーズだと深く感心してしまう。

評者のような天文人だけでなく、気象関係者にもぜひお読みいただきたい本である。

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