- 岩波書店 刊
- 25.6 x 18cm、24ページ
- 2014年2月
- ISBN 978-4000062503
今を去ること約50年前、筆者はある国立大学の地学専攻天文学専修という学科を卒業した。専修者は天文学のほかに、気象・地球物理学、地質・鉱物学に分散所属されていた。このうち天文学専修者はたった1人だった。ひとりぼっちだったからと言うわけではないが、仲間(共通の話題を持つ友人)を訪ねて、ほかの研究室にも出入りさせてもらった。だから百葉箱での定時観測もしたし、地震計記録紙の交換、無機化学実験室のような鉱物分析の手伝い、長瀞や向ヶ丘遊園や千葉での地質巡検のフィールドワークも行った。
でもそのときいつも思っていたことは、地学という学問が寄せ集めだなということだった。すなわち、物理・化学・生物、その他大勢(それが地学)だった。当時は科学と言えば主として実験室内での分析・観察で、マクロな目で見る総合科学は研究方法もバラバラ、特にその場所に行くことが不可能な天文学と他の地学とは雲泥の差があったのだ。
ところが50年後には事態が一変した。今や宇宙史の中で地球が誕生する前は天文学、誕生後は地質鉱物学・気象学などが必要になった。特に惑星環境の研究には生物学まで知識を必要とされている。故に本年表はインフレーション・ビッグバンから始まっている。50年前にはここがなかった。よくもまあこの小冊子の中に、重要かつ詳細な記事が詰め込まれたものだと思う。解説書後書には計画〜完成まで10年を要したとある。歴史的力作!