- 岩波書店
- 四六判、104ページ
- ISBN 978-4-00-007489-6
- 価格 1,575円
数年前、評者はGoogle Earthのマニュアル本を購入し同僚に見せたところ、「ネットでダウンロードできるのになんで買ったの?」とバカにされたことがあった。だが、その映像は衝撃的で、筆者の自宅付近などを(上空から)見て、うわおと叫び声を挙げていたものだった。だが、その際隕石孔などを上から見ようとは考えが及ばなかった。
これからしばらくの間、アルゴルのルーチンワークをおろそかにしないようにしながら、評者はこれで日本も世界も問わず、隕石孔研究をしようと思っている。
本書を書店で見かけたとき、これはみなさんにぜひ紹介しなくてはならない!と決めた。Google Earthと本書は天体地質学に興味をお持ちの方の大きな武器になるからと思ったからだ。ドイツのネルトリンゲンの街がそっくり隕石孔を利用していることはすでに知っていたが、オーストラリアのウルフクリーク上空からの映像を見て、評者もアリゾナのバリンジャー隕石孔や日本の隕石孔では?といわれている数箇所を当たってみた。
著者は東北大学の研究者で、恐竜絶滅の原因となったといわれる白亜紀末の有名な隕石衝突を解明するために結成された国際研究チームの有力メンバーだそうだ。その辺の研究方法や状況もこの本からじゅうぶんに教えてもらえるし、レイヤーを使って古地理・古地質図を復元させる方法も知ることができる。惑星天文学がこれから大きく変身するに違いない、ということがよく理解できるのだ。この方面に関心がある方は、まず本書を読もう。