- 岩波書店
- 12.7×18.3cm、116ページ
- ISBN 978-4000296380
- 価格 1,296円
本書読了後、まず思ったのは「今や地質学や地球物理学は変わった」である。筆者は学生時代、天文学専修生だったが、鉱物学や生物学を含めて履修した。だが、今やこれらが合体したのである。その切っ掛けとなったのが、系外惑星の発見だった。つまるところ系外惑星の研究やその理解には、大は宇宙、中は銀河系、小は太陽系に関する知識が必須用件になったのだ。同種の事情は他分野の科学書でも認められる。深井有著「気候変動とエネルギー問題」という書(ISBN 978-4-12-102120-5 C1244:中公新書2011年7月刊)では、古代の生命進化と気候変動が、銀河回転と太陽系の運動に密接に関連し、銀河腕内に太陽系がいるときに氷河期が地球を襲い、温暖期は二本の銀河腕間にいたとき訪れたと説かれている。
今から2億5000万年前に起き、古生代と中生代の境界となった生物大激変が巨大火山爆発での灰の雲によって光合成停止・酸素生産激減が原因、一方5億4100万〜5億30000万年前のカンブリア紀の生命大爆発が地球内部でのプレート運動と陸地面積の増加が原因だったという丸山茂徳先生の学説は、これもまたなるほどと感じ入ってしまった。地球独特と言っても良いこのプレート運動が地球を取り巻く磁場と絡み、ジルコン鉱物が注目されていることも本書で初めて知った。本当に自然は相互に連動しているのである