- 岩波書店
- 新書変型判、231ページ
- ISBN 978-4-00-500626-7
- 価格 819円
一読しただけでは著者が経済学部出身で国際政治学修士・経営学修士という経歴をお持ちの方だとはとても思えないだろう。数式や化学式ではなく、わかりやすい文章力で解説が進んでいく。
説明の構成も大変うまい。タイトルにある「12の偶然」を順次具体的に説明している。(1)自然定数が現在の宇宙を決定した(2)太陽が適当なサイズだった(3)地球と太陽の距離が適切だった(4)巨大惑星が2個しかなかった(5)月という一つの衛星があった(6)地球のサイズがちょうど良かった(7)二酸化炭素を減らす仕組みがあった(8)地磁気があった(9)オソン層が生まれた(10)水が液体で存在した(11)何度も生物大絶滅が生じた(12)定住農業開始期が温暖になったこと。こういった内容は純粋な惑星科学者・地質学者・古生物学者でも、堂々と、それも高校生にもわかるように書くのは難しい。
本書はその意味で、とても参考になる本であり、図式による説明が実に見事である。多くの方にお読みいただきたい。そして、人類と地球の歴史や、宇宙や地球と人類の関係について、ぜひお考えいただきたい。なにしろ、12個もの偶然がかさなることはそうそうない。