- 朝日新聞出版 刊
- 17.2×10.7cm、272ページ
- ISBN 978-4022736741
- 価格 918円
バリバリの現役太陽系天文学者とサイエンス・ライターが書かれた惑星科学の入門書と言えるが、第三章太陽系小天体と最終章太陽系外縁天体はそうではない。ほぼ最新トピックスである。かくて、評者の雑学天文大百科もメモ書きで溢れてしまった。
たとえばベリタス族小惑星ってご存じですか。約800万年前に複数の同族小惑星が衝突によって誕生し、それが地球深海底や南極大陸に塵をばらまいたのだ。あるいは、1819年に一度だけ観測されたブランペン周期(5.1年)彗星は、1992年まで理科年表に記載されていたが、93年以降は削除された。同彗星は1956年南極観測船宗谷で、インド洋上でHR数百という出現が観測されたことで有名だ。それが、2005年に地球近傍小惑星2003 WY25と軌道が似ていることが判明し、見事に復活を遂げた! そして、2014年に再び地球がそのダストトレイル内を通過したことがわかった。さらにあるいは、海王星共鳴天体(冥王星を含むプルチノ族など)やハウメアやマケマケに代表される古典的外縁天体、種々な理由で遠方に弾き飛ばされたと見られる散乱円盤天体(SDO)、あるいはセドナに代表される、太陽系最外縁部を作るオールト雲と内側のエッジワース・カイパーベルト間にある内部オールト雲天体とされているもの。惑星というと、もう全部判ってしまっているという感覚は、実は大間違いなのだ。要するに遠いから今まで判らなかったのである。