- 偕成社
- 菊判、222ページ
- ISBN4-03-509040-9
- 価格 1,050円
書店で本書の山積みを見た評者は、渋谷のプラネタリウム売店での山積みを思い出し、お客様にすすめていた頃の感慨にふけってしまった。後付によれば、本書初版が1961年12月だから、評者が本業のかたわら売店を手伝っていた頃、すでに40以上の刷を重ねていたことになる。独身貧乏で、また身辺あちこちにこの本があったことから、当時評者はこの名著を買わなかったという大失態を犯していたわけ。幾十年ぶりかに本書を見てしばし感慨にふけった後、無意識に財布が開き、お店の人の手にひらひらと千円札と50円玉が…。毎月東急ゴールデンホールで開かれた学芸委員会で、すでに晩年だった先生の口からぽんぽん出てくる叱咤激励が、今はとても懐かしい。評者の何千何万倍もの知識と教養に裏付けられた明治巨人のこの本は、いまもいささかも価値を下げておらず、次代を背負う皆さんに大きな啓蒙材料となるはずだ。誰もが持っているべき文化遺産としておすすめしたい。