- KADOKAWA
- 14.8×10.6cm、368ページ
- ISBN 978-4044003906
- 価格 1166円
本書は1996年11月に朝日新聞社から刊行された本を文庫化したもので、評者も前書を購入し、深い感銘を受けた記憶があるが、本書評開始遙か以前だったため、書斎の本の山の中遙かに埋もれ、取り出すことが現在はできていない。だから久しぶりの再読である。第24回大佛次郎賞を受賞した作品でもある。評者は大佛次郎の実兄である野尻抱影先生に五島プラネタリウムの解説員時代、大変にお世話になった由縁がある。
まぁそれはともかく、フックは皆さんご存じのとおり、フックの法則で有名だが、評者が現在研究中の長大望遠鏡による観測や学者としてのフックに関する天文研究に、本当に貴重な資料を与えてくれた本である。その一部は既に前の巻に基づく雑学ノートを作っていたが、今回それに大幅な付け加えを行うことができた。
と同時に、書名にもあるとおり、あのニュートンとの確執は有名だったが、あらためてニュートンの悪者度合いを本書によって認識することができたのである。確かに多少はフックのほうにも原因があったように見えるが、あのニュートンの執念深さとか、王立学会の組織の問題、当時の英国王室の問題など、歴史的にも背景が面白く本書で理解することができますよ。科学史に興味を深くお持ちの方々に是非おすすめすべき本である。消されなかったら、フックは間違いなくニュートン以上の科学者になっていたことだろう!