- 講談社
- A6判、263ページ
- ISBN 978-4-06-159831-
- 価格 945円
評者は、以前から産業の進歩と国際化が「単位」の厳密化の原動力になっていると考えている。コンピュータ時代のデジタル化も背景に、規格や時間の統一・厳密化があるからだ。評者もアマチュア領域ではあるが、光電測光(多分日本で最初のアマチュア光電測光者と思う)で有効数字が1000分の1秒の食変光星の変光周期など、秒単位の問題を扱うと、そもそも時間や長さの定義や測定法に関心が向かわざるを得なかった。そこで本書の原本(講談社ブルーバックス1970年刊:毎日出版文化賞受賞)に巡り合い、大変お世話になったのだ。本書はその復刻版。近年、「単位」について出版が相次いでいるが、通産省計量研究所の現役研究者の著書としてその先陣を切ったのが本書である。「単位」が天文学と切っても切れないのは、本書で詳しく述べられる「ケプラーの葡萄酒計量樽」や「メシャン・ドランブルの子午線計測」などで、現地紀行文が大変面白く参考になる。また、文章も洒脱で楽しく、特に各セクションの小見出しは、文を書く人にはスゴーく参考になりますよ。「単位」という身近な話題を雑学的にも楽しむのも良く、ぜひどなたにもご一読をおすすめしたい。