- 講談社
- 17.5×10.6cm、288ページ
- ISBN 978-4062884570
- 価格 972円
読者諸氏は、北斗七星、すなわち大熊の尻尾が伸びたという話が、何故アイヌの人々にもアメリカインディアンの人々にも、はたまたモンゴルの人々にもほぼ同じ形で伝えられているのかということをご存じだろうか? あるいは、イザナキが死んだ妻イザナミを追って冥界を訪れるという話、オルフェウスの話とソックリなのにビックリしたことありませんか? 実はこれ、民族移動の結果なのです。
本書著者は東大卒の海洋人類学者、すなわちサイエンティストである。要するに本書は神話も科学の対象になりますという本なのだ。特に星座神話を科学的に考えようというのは、まさにプラネタリウムにもってこいのこと。従って、本書は星の解説員の皆さんに、特に熟読していただきたい。中でも全世界に広がっているローラシア型神話の、無からの世界の創造に始まり、進化、神による創造、神々の闘争、破滅と再生、人間の誕生と支配者の正当性を持って終了するという共通パターンは、今から4万年前にトルコ〜西アジアで生まれたという。それが1万5000年前にはアメリカ大陸まで拡散したことが、神話の伝搬から判るというのである。ともかく、これほど詳細にかつ合理的に神話が説明されると、一体、神話とは何者なのだ、神の世界はどこにあるのだと、読後評者は考え込んでしまった。宇宙人は果たして神のことを考えているだろうか…。会ったらぜひ訊いてみたい。