- 講談社
- 288ページ
- 978-4065191538
- 定価 1221円
本書原本は2000年8月に中公新書より出版された。本書評は今から約10年前に始まったので、本書を皆さんにご紹介するのは初めてである。よって、本書の面白さや紹介されている科学者達の様々なエピソードをお知りいただくのも、おそらく初めてのことだろう。数学者カルダーノ、物理学者ギルバート、医学者パラケルスス、化学者ボイル、物理学者フック、物理学者ファラデーなど多数の科学者が紹介されているが、中でもコペルニクス、ガリレオ、ティコ、ケプラー、ニュートンらは、天文学を引っ張っただけでなく、広く近代科学のリーダー役として活躍したことを読み取ることができる。
しかしながら、1500年代の半ばに母国ポーランドを長期間戦渦に巻き込み、疲弊しきった国土を政治家としてコペルニクスが救出したことを、皆さんはどこまでご存じだろうか。ガリレオには子供や孫が居るにもかかわらず、正式な結婚をしなかったことをご存じだろうか。ニュートンも結婚していない。実は当時のヨーロッパで大学教授は妻帯しない慣習があったのだ。ティコは特殊な通信装置(たぶん糸電話のようなもの)を作って、居室に居ながらにして助手らに命令を与えていたらしい。また、観測所の方位が正確に東西南北に合っていたらしい。占いに凝った迷信家だったためだ。ケプラーは、餓死または凍死によって死んだともある。ともかく多数の逸話に溢れた本なのだ。面白くて楽しいですよ!