- 講談社
- 240ページ
- 定価 1100円
誰もが知っている天変地異は、恐竜の絶滅であろう。もちろんこれは結果であって、それは意図されたものではなかった。落下する隕石は結果を知ろうはずもないし、ましてや結果責任を問えるはずもない。科学的に原因が解明されたのは、法的に権利もない6600万年後の科学者だったからだ。
評者も、「あれ? 月はどこに行ってしまったのだろう?」と目を疑った皆既月食を見た経験がある。後から判ったことだが、大規模火山爆発によって地球を取り巻く雲の帯が形成されたことが原因だそうだ。今年11月8日に起こった皆既月食、ご覧になりましたか? 晴れていて、そもそも月が見えましたか?
略歴にあるとおり、本書の著者は海洋研究一筋の方。深海調査船「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋や大西洋、インド洋と世界中の深海に潜り詰めたという。言わば地学のオーソリティー。お生まれになったのが1946年、と言えば、ブルーバックスに書いたことがない評者と同年齢! その意味でも、評者にとっては良い勉強になった。評者は大学受験を地学と物理で受けたが、当時はそんな受験生は1人もいなかった。だが、現在は今や事情は異なり、地球学は花形科学の一つになった。地震が日本列島に多いわけ、やがて来るはずの地球寒冷化など、話題や議論が尽きることはない。面白いですよ!