- 講談社
- 392ページ
- 定価 1463円
読者諸氏よくご承知のコペルニクスによる地動説の本。種々な地動説の本が出版される中、正しくコペルニクス直筆の書の完訳版で、コペルニクスの愛弟子レティクスの解説(本邦初訳)の極めて重要な本。これはご自宅の書棚に永久に並べて置く価値の高い本だ。
今さら地動説の本! なんて思われる方も多いかもしれないが、地動説が近代物理学の出発点になったのだから、しようがない。本書ほど科学史上大切な本はないと言っても差し支えはない。どちらかというと、科学書というよりも幾何学書に近い。当時の天文学は数学の一部だったと思えるほどだ。
それに較べると、弟子レティクスが書いた第一解説は、初期の天体運動論を彷彿とさせる名文である。是非お読みいただきたい。重要な点は、第VIII章「古代の天文学者達の仮説(天動説)が廃棄されねばならない主な理由」である。熟読玩味されたい。
その後数百年経って天王星が、続いて海王星が、さらに冥王星や多数の小惑星が見つけられ、今では系外惑星までメチャクチャ多数発見されて、今や太陽系はあたり前でもなくなってしまった。でも、天文革命の中でも大革命の一つ、天動説→地動説のことは、正確に知っておくべきことではないだろうか。つまり、ただ見ただけでこうだと決めてかかるのはまずいということを、古代の天動説論者に見てとるべきだ。