- 小学館新書
- 11.2×17.2cm、189ページ
- ISBN 978-4098252442
- 価格 799円
出版社さんに。帯には太陽や銀河宇宙線のことが何一つ書かれておらず、表紙に書かれていた「太陽黒点消滅が招く異常気象」の副題が、幅広の帯に隠れて見えなかった。これでは、著者名に気づかなかった天文人は、最近の地震・異常気象、果ては混乱する政治情勢の本かと素通りしてしまったかも知れない。著者が最も期待したであろう読者の目にもとまらない最悪の帯。著者の本の愛読者たる評者が発見したから良かったようなもの。
本書にあるとおり、太陽変動で歴史を作っていく人間のものの見方や考え方が変化し、歴史の動きをも変えてしまうとか、宗教改革が気候の寒冷化したマウンダー極小期に起こったのも必然性があった、あるいはドールトン(ダルトンとも)極小期にヨーロッパで小麦価格が急上昇したことが、フランス革命の引き金になった、さらにマウンダー極小期には多くの優れた科学研究がなされ、17世紀の科学革命に繋がったなどなど、目を見張る新知見が目白押しである。フェルメール作「天文学者」という絵が今年初来日して展示会で公開され話題になっているが、じっと見ていると厚着なことが解りました?当時がマウンダー極小期で、今より寒冷化していたことが理由だ。一方、平安時代の屏風絵上の人物は冬でも厚着していない。雨戸もしっかりはしていない。理由は当時の今より2℃以上高い気温の性だ。これから温暖化ではなく寒冷化する地球のSOSを本書で聞こう。