- 中央公論新社
- 新書判、261ページ
- ISBN4-12-101829-X
- 価格 840円
宇宙は時間と空間で形成され、天文現象もまた時間と空間に縛られているため、解説員がそれに一言がいえなければならないのは宿命である。ためにこれまでしかたなく何冊かこの手の本を評者は勉強させてもらった。相変わらず難しい内容だが、一番よく理解できたのがこの本の説明の仕方だ。特に第1章から3章までのライプニッツとニュートンの戦いの解説は、類書に見ない特記すべきもの。微積分学創始者の一人という程度しか知られていない前者について見直してしまったほど。さらにその裏に神学論争まであるとは…。400年前の二人の大天才は100年前のアインシュタインと大して変わらない!その間にマッハやオイラーがいる。その流れが、この本で極めてよく理解できる。齢60の評者にはもう到底無理な話で、著者が望むように若い人が本書をきっかけに、日本では数少ない科学哲学の研究者に育ってくれると良い。それを望んで評者は特に本書を推薦したい。