- 中央公論新社
- 224ページ
- 定価 946円
次回本書評でご紹介予定の大須賀健先生の本と合わせて、ブラックホールに関心を寄せる愛読者の皆さんに、ぜひご紹介したいのが本書。副題は異なるが、メインテーマが同じなので、分けさせていただいた。いずれにしても、ブラックホールが大人気であることの証拠である。
ところで、評者の頭の中にもブラックホールがある。頭そのものは微小なそれの大集合で、それぞれが勝手に動く統率のないもの。だから、今後いかなる結論が出てくるか、全くわからない。それが何であれ、質量しか持たないシュワルツシルト・ブラックホール、質量と電荷を持つライスナー・ノルドストロム・ブラックホール、質量と角運動量を持つカー・ブラックホール、質量と電荷と角運動量を持つカー・ニューマン・ブラックホール(各ブラックホールについては本書でお読みください)、いずれにも明確には所属しない謎のブラックホールが評者の困った頭中のそれ。
ともかく、現時点でブラックホール全般の物理学的トピックスを知りたい方は、ぜひ本書をお読みください。一番ですよ。その他、ソーン、モリス、ヤートセーバー、ベッケンシュタイン、クリストドゥール、ポドルスキーなどなど、ブラックホール論者達の名前と説の解説が、続々と登場する。正に本書はブラックホール解説書の花形なのだ。