- 早川書房
- 15.8×10.6cm、285ページ(上)/326ページ(下)
- ISBN 978-4150504847(上)/978-4150504854(下)
- 価格 各972円
本書は2008年10月に同じ出版社から刊行された単行本を文庫化したもの。評者も単行本を読んだ。前書発売当時、ベストセラーになったせいか、今回再発売となった。
上巻で先ず天文学全般というか宇宙全般というべき基礎知識のまとめがあり、著者流の膨大な知識が披露されている。下巻では宇宙の生命論、宇宙の様々な危機(この章でブラックホールで死んでみる、が語られる)、宇宙の新発見と人々の反応のズレ、科学と神の対立が主題とされた。内容が豊富すぎて、アレヨアレヨですよ。
一言で申し上げて、こんな内容の本はこれまでになかったし、マルチバースやら様々な宇宙論が華やかになるだろうこれからも、そうザラには出現しないだろう。ここなんですよ、日本の天文学者と欧米の科学者との違いは…。つまり視野の広さと知識の豊富さが段違いなのだ。面白いですよ! ついでに評者も一言。下巻151ページに記されているが、ある年以上の人なら1997年にヒットした「タイタニック」という映画をご覧になっただろう。豪華客船遭難後、救助船に助け上げられた人々が見上げる夜空のシーン、評者は突如違和感に襲われたのだ。4月中半未明の空なのに、星の並びがメチャクチャだった。流星群もデタラメ。それをタイソンさんも指摘している。この一件で、さすが一流の著者だと感じた次第。本書を熟読され、現代天文学を多方面から学ばれることを、ぜひお勧めしたい。