- 早川書房
- 384ページ
- 定価 2970円
読者の皆さん、ヒッグス粒子をご存じですか? ビックリ粒子ではありません。でも、それはビックリするほど重要なものなのだ。今では「神の粒子」とさえ言われている。付録(第一論文・第二論文:共に論文なので、決して易しいものではない)から読み始めることをお勧めしたい。
現在、宇宙物理学・宇宙論の研究史上で絶対に理解しなければならないもの。評者のこれまでの勉強史中、ヒッグス粒子について詳細に語られた書籍は、書店で見かける限りでは本書以外にない。したがって、皆さんのお宅の書棚に必ずや並べてほしい。もちろん並べるだけではダメで、本書の内容を理解いただくことも重要。
とくに本書第八章「ピーター、君は有名だぞ!」は、重要な章である。これ以降の章は、正しく現代理論物理学・天体物理学の歴史的転換が語られている。評者はそれを知らずに、この時代プラネタリウムを介して、宇宙を楽しむことを人々に伝えてきた。でも、学者の世界では楽しむどころではなかったのですね。きっと苦しんでいたのでしょう。当時、天文学者は安給料で、ろくなポジションもなく、霞か雲を食べているかのようでした。今や、宇宙を語ることは夢と希望を食べることです。嬉しい限りですね。本書を熟読ください!