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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

宇宙が始まる前には何があったのか?

  • ローレンス・クラウス 著/青木薫 訳
  • 文藝春秋 刊
  • 19 x 13cm、284ページ
  • 2013年11月
  • ISBN 978-4163768700

著者は米・アリゾナ州立大学の宇宙物理学者で、「起源プロジェクト」(Origins Project)を創設して率いるローレンス・クラウス。同プロジェクトでは、「宇宙が始まる前には何があったのか」「宇宙はどのようにして始まったのか」「私たちはどこからきたのか」というテーマで討論会を開いたり、一般の人たちにわかりやすく伝えるイベントを行っている。

書籍と同題で行われた講演は、動画サイトで再生数150万回を超える注目を集めたという(YouTube)。原題は「A Universe From Nothing」、つまり「宇宙は無から生じた」であり、量子力学と重力理論を組み合わせた最新宇宙論を丁寧に解説している。

出版半年で何度も重版しており、宣伝コピーの「全米でベストセラー」も納得。「ペーパーバック版へのまえがき」や「著者との一問一答」などから、著者が読者と真剣に向きあう姿勢が伝わる。

本書の副題は「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」(why there is something rather than nothing)である。宇宙誕生やブラックホールについて考えることは、生命誕生の謎を探ることにも似ている。ゴーギャンが描いた絵のタイトル「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」のように、「宇宙はどこから来て宇宙はどうなっていて宇宙はどこへいくのか」を求め続けていきたい。