- 河出書房新社
- 296ページ
- 定価 2695円
評者が待ちに待っていた本。といっても出版をではなく、内容を…である。もちろん、そう昔からの話ではない。そもそもファーストスターが熱心に語られるようになったのは近年になってのことで、しかも初めのうちは想像上(理論的といった方が適切)のものだった。
ビッグバンから2億年以内に生まれ、超絶な重さ故に第二世代の星を生むとすぐに消え去り、忘れ去られてしまった可哀想な初代星。だが、彼らがいなければわれらが太陽もベテルギウスも生まれなかったのだ。この分野の発展は近年めざましく、残念ながら本書中にはないが、L1527、L1551、KC-IRc2、G353.273+0.653等々、大型望遠鏡により美しい実写画像までも発表されつつある。凄い状態ですよ!
残念ながら本書は内容が難しく、電車の中で、あるいは寝床の中で気軽に読める本ではなく、オマケにドンドンメモが増えて、評者のメモ帳は初代星で溢れかえってしまった。だが、価格はそれなりで、読者の皆さんの書棚にピッタリである。ぜひ1年や2年時間をかけて読みこなしていただきたい。心配するのはその間に新発見が山のようになることだけだ。