- 河出書房新社 刊
- 29.4 x 21.2 cm、54ページ
- 2014年3月
- ISBN 978-4309274652
筆者の書棚には、星の王子さまの原書(フランス語)と英訳書と和訳書と、なぜかラテン訳書が鎮座している。このたびその隣に本書が加わることとなった。
星の王子さまは決して童話ではなく、哲学書だ。それと同様、本書も童話ではなくSFである。「星の王子さまとめぐる」とあるように、太陽系の果て、宇宙の果てまで天体を訪ね歩くという天文学者の夢を果たした本だ。美しい天体の図版とともに、そこここに天文学者としての著者のこだわりが散りばめられている図鑑である。
小学校低学年のお子様がいらっしゃるお父さんとお母さんにもおすすめだ。最終ページのすごろくもすごく楽しいですよ。床の間に望遠鏡と本書とを置いておくと、「このご家庭はこういうことに関心があるのか」と訪れた方から評価の声が上がり、お宅の“格”も間違いなく上がる本である。
著者は国立天文台の天文学者であるとともに、天文教育者である。また筆者卒業大学の超優秀な後輩でもある。サン=テグジュペリが生きた時代には本書のような本が出版されることはなかったが、探査機から眺めた地球や太陽系外縁天体などが、想像ではなく実像として眺めることができる現代はすごいと実感させてくれる本でもある。
本書の姉妹書として同著者が監修した「星の王子さまの天文ノート」は対象がやや上のものだが、あわせてお読みいただくことをおすすめする。