- 河出文庫 刊
- 14.9 x 10.6cm、246ページ
- 2014年3月
- ISBN 978-4309412801
宇宙・素粒子・生命・ことば・数と図形・知覚・感情…これらのものに何らか謎を感じている読者の皆さん(要するに科学に関心を持つ人)は、ぜひ本書を熟読するべきである。なぜなら著者が著者だから。別書に挟まれていた新刊案内を見た筆者は、日本初のノーベル賞受賞者の科学観をぜひ知りたいと思い即座に本書購入を決めた。これが実現できた喜びは何物にも代えがたい。またまた筆者の書棚が洪水だ。
本書は1974年ちくま少年図書館(筑摩書房刊)の一書として刊行されたもので、今年3月に文庫化された。残念ながら筆者は当時すでに少年ではなかったからか原本を購読することがなかったが、今購入したからこそ共感できるところがある。本書13ページにある「2歳半の孫が雨が降っているのを見て『だれが水をまいているの』と聞くので、私も答えるのに困ったことがある」という箇所だ。私自身もほんの数ヶ月前、2歳半の孫娘に「太陽って何で光っているの」と聞かれて困ったことがあったのだ。
こればかりでなく、本当の科学者でありながら心理学や文化人類学的な視点や教養が本書のあちこちに滲み出ているのである。著者の執筆動機もなかなか面白い。詳細は著者のあとがきをお読みいただきたい。池内了先生の解説も大きな読みどころだ。