- 河出書房新社
- A6判 223ページ
- 2009年8月
- ISBN 978-4309497358
- 価格 540円
通りすがりの小さな書店でとんでもないものを見つけてしまった。早速購入したのは申し上げるまでもない。もちろん安価だったからではない。編者の顔ぶれにびっくりしてしまったからだ。3人ともすべて筆者の知人、というより著名なプラネタリウム解説員なのだ(執筆者のお名前は本書前書に記されている)。
これまで何度か申し上げてきたように、本書評は解説員の目線で本を紹介させていただいている。それは広く天文学全体についても言うことができて、お客様が現在何に一番関心を寄せているか、どの点がおわかりにならないかを一番把握しているのはプラネタリウム解説員だからである。
その点で、本書で取り上げられている話題も誠に適切。解答のしかたも、お客様を導く方向性も、誠に結構ということができる(えらそうな言い方だが…)。
だがせっかくなので多少意見を申し上げると、広辞苑には「宵空」という言葉はありません。広辞苑にないからといって日本語ではないと言うつもりはないが、これは五島プラネタリウムの造語である。
土星の輪の消失が「2009年8月11日と9月4日に起こる」という記述は説明不足ではないだろうか。また、星に自分の名前を付ける方法があるとの記述、命名権は発見者にあるというのは誤りで、発見者は自分の名前は付けられないのではないだろうか…など気になる点はいくつかあるが、ともかく220ページあまりの文庫本に300有余の設問と答が書かれているのだから、本書は宝の山である。宇宙の不思議を心ゆくまで楽しめる本ですよ!