- 河出書房新社
- 190ページ
- 定価 990円
評者が大学1年の地学実習で、千葉県市原市の今で言うチバニアンの地層を調べたときのこと。地学(地質学)とはこんなに面白いモノかと実感した。その後、埼玉県長瀞で古生代の地質調査も行ったが、その地質はまるで同じ地球のモノとは思えなかった。
著者は東京大学教授で地球内部物質学がご専門。2011年日本学士院賞を受賞された、バリバリの地質学者である。本書はその専門性を充分に活かした本である。
皆さんもよくご存じのとおり、地表のすぐ内部には2種のプレート、大陸プレートと海洋プレートがある。面白いことにこの2種のプレートは動いており、沈み込む部分で大地震が起こっているのだ。しかし、その深さは高々110〜120km程度。とても地球半径6400kmに遠く及ばない。地球内部は地震を通して人間生活に直結しているが、深々1/60程度しかないのだ。
まして、地球中心から半分程度の位置にあるコア(外核や鉄でできている内核)には、はるか遠く及ばない。地震波の測定によって内核が発見されたのは1936年のことだった。さらに16年後、外核は鉄だけでなく水素・炭素・酸素・ケイ素・硫黄といった軽い物質も含まれていることが判明した。こうして、それらが多い他の惑星と地球とが初めて繋がったのだ。