- ニュートンプレス
- A4変型判、158ページ
- ISBN 978-4-315-51856-6
- 価格 2,499円
ムックの多くは、それまでに雑誌などで発表された記事を収録したものが多いために、評者はあまり感心することがなかった。だが、本書の場合、事情は異なるので、みなさんにご紹介し、書棚に長く残る本としていただきたい。
東京三鷹にある国立天文台の図書室を見学すると、そこで毎年2回ずつ実施されている国立天文台所蔵貴重書の展示会用パンフレットを、バックナンバーを含めてもらうことができる。もちろん天文台を訪れなくても最近はウェブサイトから拝見することができる。パンフレットに載せられている詳細な解説文のとおり、これらの書物は本当の意味で文化財といえるものだ。本書のオリジナル記事であるパート3「文献で振り返る日本の天文学」では、異なる観点からそれぞれの資料を学ぶことができる。江戸時代の天文観や明治以来の「日本の天文学の歩み」が、尾崎洋二先生の解説で詳しく紹介されている。
ほかにも、すでに出版された内容ではあるが、パート2「天文学に革命をおこした11枚の画像」ではガリレオの月面スケッチ、フラウンホーファーの太陽スペクトル図、ハッブルがM31に発見したセファイド(ケフェイド)、オールトによる銀河系の中性水素分布図(いわゆる渦巻構造図)などを相当な大判の印刷で見られるのが強みだ。
世界天文年2009の今年は、本書を読んで、ぜひ天文学史の方面についても多くの方々に語り合って欲しいものだ。