- ニュートン・プレス 刊
- 27.4×21cm、207ページ
- ISBN 978-4315520439
- 価格 2,800円
昨年来宇宙論の中で最も注目された言葉がある。それがビッグリップ。加速膨張の結果、従来の膨張理論では明確には想定されなかった、宇宙はやがて(評者の調査では今から1000億年後)に張り裂けるという理論である。今年3月本書評に掲載の「宇宙の始まり、そして終わり」で、評者は初めてこの用語について勉強したことをご紹介した。
実は本書でも見開き2頁の記事ながら紹介されている。本書では観測的根拠が現時点ではない、と記されているが、アストロアーツの天文ニュース「予測よりも速い宇宙の膨張速度」で紹介されたように、ジョンズ・ホプキンス大学チームがハッブル定数を測定した結果、従来のそれより相当大きいという結果が出たという。取りも直さず、これはビッグリップの証拠になるのではないだろうか。
などなど、本書を読みながら、というより見ながら、評者は考え込んでしまった。ぜひ皆さんも本書と上記の本を詳細に読み較べながら、お調べ戴きたい。ビッグリップ以外でも、意外なことを勉強することが本書からできる。特に本書後半は最先端の宇宙論についての記事で、マルチバースやらダークマター、ダークエネルギー等のほか、ミルカミーダの誕生や、ブラックホールの蒸発、ブレーンワールド、サイクリック宇宙論などなど、続々登場する。眠ってなんかいられません! 本書の最も良いところは、それが図解だということ。しかし明確に言えることは、天国や地獄の存在余地がどこにも無いことだ!