- 光文社
- 264ページ
- ISBN 978-4334044978
- 定価 990円
今年10月下旬にケネディー宇宙センターから打ち上げが予定されていたNASAの新型宇宙船クルードラゴンで、国際宇宙ステーションに半年間滞在が予定されていた野口聡一さんは、残念ながらエンジントラブルで11月に打ち上げが延期されてしまい、あいにくなことになってしまったが、もちろん今後何度も宇宙空間という非日常な場所で、日常的に活躍なさることは間違いない。
評者には宇宙空間は想像するしかない場所だが、本書によればそこでの生活は「地球がいかに大切な場所」であることを知る場所だ。だって、本書読了後すぐに行った床屋さんで、髪の毛を切るのも、髭を剃ることもままならなかったからだ。理髪店の椅子に座って鏡を眺めていたら、そんなことを思ってしまった。その後理髪師(女性)から、なぜか普段のお仕事は?と訪ねられて、カルチャーセンターで宇宙の弁士をやっていますと答えた途端、あれもこれもと質問攻めに遭い1時間、会話の攻防は続いたのである。
ともかく、一般の方にとっては、宇宙は大変に遠い存在なのだが、地球にいることは宇宙を知ることなのだ。どうやら、こんな珍しい人が来店するというのは千載一遇らしい。メチャクチャ甲高い声で質問された。野口さんは、おそらくNASAの理髪店で搭乗前に整髪されるのだろう。宇宙が無から生まれたのは何故か?などと考えながら。