- 幻冬舎
- 18.8×13cm、127ページ
- ISBN 978-4344914568
- 価格 1296円
評者の学生時代(半世紀前)には夜光と呼ばれていて、本州山岳部でも観測が可能とされていた。今や死語になったかと思いきや、それは昼間大気光が(もちろん太陽がまぶしい地上からではなく宇宙空間で)発見され、その区別のために夜間大気光と名付けられ復活した。懐かしくかつ楽しい気分になった次第。
オーロラを見に行きたいなと思われているみなさん、あるいは天文ファンなら誰でもなじみが深い流れ星、でもそれが緑色を呈していることを以外と知らない人が多い。そんな中、日本で見えるオーロラが平安時代の昔から赤気と呼ばれ、スカンジナビアやアラスカでよく見える緑のオーロラとは異なり、赤く見えていたことが京都などでの観望記録から知られている。そういった低緯度オーロラが赤いことや流星が緑な訳なども、本書で丁寧に説明されている。本書はいわば望遠鏡を使わない観測の入門書といえよう。
そればかりでなく、第4章の私たちの生活との関わりによると、地球温暖化物質で地球全体が温暖になっていると思いきや、中間大気圏では逆に寒冷化し、氷粒の集合体である夜光雲が増加して、これまでは極圏でしか見えなかったそれが日本の北海道など中緯度圏でも、頻繁に見られるようになったという。また太陽フレア爆発による通信やカーナビ障害など夜間光に関わる事柄も、ためになりますよ。熟読をおすすめします。