- 誠文堂新光社
- 21.2×15cm、160ページ
- ISBN 978-4416617618
- 価格 1620円
月や星座関連の星に較べて、一般向けの書籍の刊行は、太陽に関しては意外と少ない。本書は、さすがオーロラの研究を種にしておられる著者だけに、出色のものである。まず語りかけの口調が優しくて心持ちがよい。もちろんイラストも優れているせいもあるが、冒頭からメラトニンの分泌が睡眠に関わる(このご時世、引きこもりなどの社会現象はこれが大きく起因している)ことや、神話でなぜ太陽が第一級の神様なのかを考えさせ、暦と太陽との関連を経て、太陽の年齢と寿命、太陽〜地球間の距離、電磁波波源別太陽像、内部構造、太陽ニュートリノ、太陽コロナなどの最新話題が説明されている。
本書の大事なところは、それらが単に羅列的に述べられているだけでなく、現在解らないことが正直に打ち明けられている点である。だから、太陽の研究が最新科学であり、巻末に詳しく述べられている太陽観測衛星「ひので」の解説につながっているのである。黒点とその磁場、それらの変動、ダイナモ理論なども、一読の価値がある。著者による2014年の研究で、太陽磁場の逆転が南北両極では同時に起こらない、各極での逆転が共に各半球に於ける極大期と一致していることなど、評者にとって大変勉強になった。一方、かつてのフランス王ルイ14世がなぜ太陽王と呼ばれるに至ったかのエピソードなど面白いですよ。ただ一つ残念なのは、119頁のこれからの太陽の寿命。正しくは70億年です。