- 自由国民社
- A5判、159ページ
- ISBN 978-4-426-10271-5
- 価格 1,890円
2008年1月までに我が国で出版された入手可能な絵本(といっても大人が読んでも役に立つ図鑑類も多数含み、平均的には科学少年向き)の総解説である。総数は600冊に及ぶ。そのうち、純然たる天文・宇宙関係は15分の1の39冊だが、評者が以前、子ども向け図書としてご案内した本も、ちゃんと数冊推薦されているので、一安心!
評者は著者を個人的には存じ上げないが、本書の「著者紹介」によると「本の探偵」だという。少なくとも四半世紀に渡り司書的な活動を続け、学校図書館づくりや児童図書専門書評家として活躍する方である。評者は、「この本は読み聞かせに向く本」「向かないが子供が自発的に手にとって見たくなる本」という区別に感動してしまった。書評とはこういう点にも留意しなければならないということを、本書で十二分に勉強させてもらった。
ジャンルとしては恐竜なども含めた生物関係が3分の4すなわち450冊の圧倒的多数。科学少年の大半は虫少年だそうで、天文少年は冊数から見れば少数派だ。著者によれば小1から小4のころの子どもは理科が好きなのだそうだ。その後は社会的なものに興味が移ってしまうという(すみません、評者はちょうどその逆)。
この世界は素晴らしく精妙にできていて、そのメカニズムを知れば知るほど私たちは謙虚にならざるを得ない。なんとか、世界を幅広く捉え、論理的・客観的にものごとを考えるということを知ってもらいたい。そう主張される著者に大賛成だ! そんな著者が選んだ600冊は、きっとあなたにも大いに参考になるだろう。