- 筑摩書房 刊
- 17.5×10.6cm、222ページ
- ISBN 978-4480069023
- 価格 842円
今年が間重富(はざましげとみ)没後200年のアニバーサリーであることは、評者も昨年の段階で掴んでいたが、本書はそれを記念した出版物となった。と同時に今年3月11日、国の文化審議会もそれを意識してのことだろう、間重富関係資料741点を文化財として指定すると答申したことは、評者は著者後書きで知った。というわけで、実にタイムリーな本である。
みなさんが本書を手にとってくだされば、たちどころに本書に小難しい数式もなく、いわゆる理論天文学書でも観測や観望を中心話題とした本でもないことが判っていただけると同時に、間や渋川春海や麻田剛立ばかりでなく、江戸時代に生きた多数の天文学者が関係した様々貴重な図版が載せられていることに、圧倒されることだろう。気軽に完読でき、しかも安価な本として、ぜひお勧めしたい。
著者にお会いしたことはないが、電気科学館から大阪市立科学館でお勤めになっている学芸員、というか解説員としてかつての評者の仲間。そこで一つ苦言を呈す。月日が旧暦なのか新暦なのか判りにくい。寛政暦への改暦宣下の日付が縦書きで一七九七(寛政九)年一〇月一九日とあるが、もし新暦なら1797(寛政九)年10月19日と書くべきだ。他個所(天王星観測)では旧暦漢数字表記が、新暦漢数字表記で正しく西暦年月日が書かれているので。