- 筑摩書房
- A6判、397ページ
- ISBN 978-4-480-09175-8
- 価格 1,365円
評者は本書を購入するに当たり、誠に稀有な体験をした。本書を丸の内のオアゾというビルで購入したからだ。そこは知る人ぞ知る、理科年表出版で有名な丸善書店があるビル。そこで見かけたのが本書。当初丸善さんのジョークかと思った! 本書は丸善の「理科年表」とは無関係だが、「ゆかいな理科年表」を「理科年表」の本拠地で買うのが愉快なのだ。それはさておき、最初から最後まで筆者ヴァーマさんの楽しい語り口で楽しむことができる本だ。
勘のいい読者諸氏ならすぐおわかりいただけるはずだが、本書は理科年表ではなく科学史年表。さらにただの年表では無く、インドで生まれオーストラリアで活躍する著者が、渾身を込めて披露する科学逸話集だ。古代エジプトの数学から現代の気候変動まで、愉快でちょっとやそっとでは学べない話ばかりで、今は筆者のベッドサイド・ブックになった。
もし評者が40数年前に本書を読んでいたら、モノにならなかったにしても、天文以外の科学分野にも気をそそられていただろう。とにかくハマる! 全192項目(天文関係は29項目)が見開き2ページで簡潔に描写される形式は読みやすく、電車の中で降車駅を忘れてしまうほどページをめくるのが楽しい本だ。もし時間が無ければ、各項目のタイトル(1572年 超新星・神話が吹っ飛んだ日/1735年 ♂と♀・オスは火星からメスは金星から/1835年 月をめぐる一大ペテン・月のこうもり人間/1956年 隕石の脅威・チキンリトルの警告)だけでも味わってみては? ともかくどれほどハマるかは、みなさん自身でご体験ください。