- ちくま文庫
- 10.8×14.8cm、424ページ
- ISBN 978-4480432537
- 価格 1,026円
うっかりすると本書評読者のみなさんも、1969年の感動を体験なさっていないかもしれない。もちろん第七章アポロ11号の月着陸の事実。それをこともあろうに捏造と指摘した輩がいたのには、ビックリした。評者は、当時中学生と共に尾瀬の林間学校で望遠鏡を使って月を観望、あそこに人がいるんだよと説明したことを鮮明に記憶している。その後、行っていない、いや行っているの論争を互いの本で読んだ記憶もある。
だが正直言って46年も経過して、本書でお目にかかろうとは! SF作家の著者が書いた本書は、もちろんSFではない。ニセ科学を見破る方法が詳述された本なのだ。オモシロイですよ。早速評者が関わっているカルチャーセンターの受講生にも紹介してしまった。なにしろみなさんアポロ世代なので、共感を持っていただけた。
また第六章の地球滅亡もほとんどが天文学的なもの。この他地震雲や動物による地震予知、或いはゲーム脳・買ってはいけない有害食品問題、血液型、その他大勢のニセ科学の氾濫は、如何にこの世界に科学的トレーニングが浸透していないかを知る目安になる。本書を話題にして、ぜひみなさんの周囲の方に、例え笑いものにされてもめげずに語り通して欲しい。本書巻末には有効な文献一覧もあり、タレントの松尾貴史さんの本や、カール・セーガンの著書ばかりでなく、ニセ科学本のツアーをしていただけたら幸いです。