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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星の文学館 銀河も彗星も

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星の文学館 銀河も彗星も
 

  • 和田博文 編
  • 筑摩書房
  • 15×10.6cm、383ページ
  • ISBN 978-4480435293
  • 価格 886円

本書は、同文庫の『月の文学館』 と併せてお読み戴くのが良い。何故かというと、同じ天体と言っても日本人の感覚では月と星は大違いなのが判るから。圧倒的に月は文学者好みで、星は科学者好みだからである。著者によると、日本の文学作品では、月に関する作品よりも星に関するものの方が少ないという。でもね、現代の日本の都会地では、強烈な街明かりで主役の二人が渡るべき天の川が全く見えないのに、幼稚園・保育園では七夕祭をやっていますよ。織り姫様や彦星様がどこにいるかも知らずに、また織り姫のお父さん(北極星)なんて完全に忘れられているのに、ですよ。

評者は、かねてより日本人が星をどのように見てきたか、そして考えてきたかに関心を持っていた。だから本書を一気に読んでしまった。そこで、上記のような結論を得た。そしてそれは確信に変わった。著者は大学の日本文学の教授先生で、NHKのコズミックフロント☆NEXTのファンだという。文学者としては珍しい方なのだ。文学に精通し、従って紹介された文の著者も山口誓子や川端康成をはじめ、野上弥生子、稲垣足穂、森繁久彌、寺山修司、三島由紀夫、水木しげる、武者小路実篤、江戸川乱歩、阿部謹也、三浦しおん、宮沢賢治、大江健三郎、小松左京…35名による珠玉の作品ばかり。近代文学の代表評論家の荒正人さんが、1956年9月4日に科学博物館で村山定男先生の指導の下20cm望遠鏡で中大接近の火星を見たなんて知らなかった。

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