- 日経サイエンス社 刊
- 21.0 x 27.8cm、142ページ
- 2013年12月
- ISBN 978-4-532-51196-8
ほぼ1年前に出版されたムックなのでお近くの書店では入手できないかもしれないが、一般宇宙論の本とは違って説明は極めてわかりやすく、内容もとても良いので紹介させていただきたい。また、1年前と言ってもこの分野では最新(副題にある通り)の内容で、現代宇宙論の本質が余すところなく語られていることは特筆しておきたい。
佐藤勝彦先生の語るプロローグは、その全貌を掴むために最初にお読みいただきたいが、チャプター1から4まではそれぞれ独立完結しているので、どの記事から読みはじめても差しつかえない。例えば筆者が最初に読んだのは、チャプター4の「宇宙の歴史が消える日」と、「宇宙100兆年の未来」である。ここでまず現代宇宙論の全貌を掴むことができた。加速膨張を続ける宇宙は、やがて宇宙そのものの起源を示す証拠(つまりビッグバンの)を消し去ってしまうだろうという恐ろしさ、だからこそ消し去られていない今のうちに詳細に掴み取っておかねばという焦りすら感じた次第だ。
数十億年後に起こるアンドロメダ座大銀河(M31)と我が銀河系(筆者は天の川銀河という最近流行の言葉が好きではない。天の川天の川という重ね言葉だからだ)との衝突はもとより、掲載された100兆年後の暗闇宇宙の想像図を見ると、絶対長生きしたくないなぁと勝手に思ってしまう。多数のイラスト入りで、大変に美しい本ですよ。