- 日本評論社
- 19×13cm、203ページ
- ISBN 978-4535787742
- 価格 1,994円
裏表紙写真にいつものように優しい笑顔で微笑む福井先生の写真を見て、またロマンチックな表題も見て、アルマ望遠鏡について易しく解説してくれる本かな、と思ったら大間違い。アルマの技術から始まって宇宙の進化〜銀河と超巨大ブラックホールの共進化、巨大星、原始惑星系の進化、星間分子〜分子進化〜同位体を通しての太陽系の形成などなど、まるっきり専門家が読むべきといってよい本なのだ。ただし、アマチュアにも気軽な勉強といったところか。
ともかくアタカマ高原に行ってみたくなる。もちろん高山病になる危険がいっぱい。だがそういうところだからこそ、アルマによる高解像度な精密観測が可能になることが、本書を読めばたちどころに理解できる。添付されている詳細でかつ多数の説明図や実写写真が、これまた良く、その説明文もきわめてわかりやすい。特に評者が買っているのは、チリの現地で活躍なさっておられる水野先生が書いた序章のアルマの技術である。測定原理から観測技術まで、微に入り細に入りの説明は、素人でもよくわかる。また、福井先生がお書きになった分子雲から巨大星が誕生するあたりの説明は、これまでの普及書にはほとんど見られなかった。さらにまた、若い(といっても女性でお生まれになった年が記載されておらず年齢不詳)坂井先生の宇宙に対する本気度が感じられて、嬉しい限りだ!