- 日本文芸社
- 四六判、350ページ
- ISBN 978-4-537-25435-8
- 価格 1,470円
副題で「学校で教えない教科書」とあるが、ぜひとも学校でできれば大学くらいで教えてほしい教科書である。学説として広く認められている定説から、突飛に見えてもちゃんとした仮説(監修者が折り紙をつけている)まで、幅広くおもしろくわかりやすく取り上げられている。サイエンス・ライターとして実力をお持ちの二人の著者が、銀河宇宙から太陽・恒星物理学、惑星科学まで、詳細に解説してくれる本であり、「こだわり天文家」を肩書きにもつ評者としては、最近この手の本が多く出版されている中で「最強の本」と認めたい。
評者は、最近出版される天文普及書がだいぶ偏っているといくらか不満をもっている。それは、一般のみなさんが夜空を見上げたときにまず目にできるのが、銀河や広大な宇宙あるいは系外惑星ではなく、宇宙論的にはすぐお隣りにある恒星であり、太陽であり、肉眼惑星であり、月であり、流星であるからだ。つまり、アマチュアが観測対象とする天体が一番生き生きとしているのではないだろうか。本書は最初と最後の章立てで宇宙論的な対象も話題にしているが、本筋は目で見ることができる天体についての部分であり、生き生きとした天文学を学ぶことができる。プラネタリウム解説者は子供から大人まであらゆる層のお客様に、この全てを、わかりやすく説明できなければならない。その意味で、大学(もちろん教養課程)くらいで学んでほしい教科書なのだ。