- 白水社
- 19.6×13.6cm、224ページ
- ISBN 978-4560096529
- 価格 2484円
評者は、変光星の観測のため家を出るあるいは戻る時、いつも口ずさむのが、♯木枯らし途絶えてさつる空より…、♯あの町この町日が暮れて…、♯笹の葉さらさら軒端に揺れる…、♯夕空晴れて秋風吹き…、♯星影さやかに静かに更けぬ…、♯雲無きみ空にきらめく光…、等々である。みんないい歌ですね!
本書冒頭、1998年11月18日東京大塚がんセンター屋上で、筆者が入院患者数人としし座流星群を観望した記事が語られている。ちょうど同じ日、評者は東京多摩市のある小学校校庭で250人の方々と観望した思い出を持つ。何しろ同校校長先生の粋な取り計らいで、明け方にも関わらず校庭が開放されたのだ。おかげでその締めくくりに大火球が飛び、皆さん忘れられない思い出を大火球の流星痕と共に残されたらしい。
評者より2歳年長の方で東大仏文学科卒、本書を書く最も適任者(要するに★好き)の詩人、作家車谷長吉さんとご結婚された。その★好きは評者を超えている。だから文学者の天文観を学ぶのにもってこいだ。違うんですね! まさしくロマンそのもの。ただし科学者だと、面倒くさいから、図とかグラフで誤魔化してしまおうとするが、本書は文字だらけ。それを覚悟して、ただし行間は広いから詠みやすいですよ。弘法大師・清少納言・サンテグジュペリ・三島由紀夫・宮沢賢治・草野心平・谷川俊太郎…多数登場します。