- PHP研究所
- B6判、245ページ
- 2009年10月
- ISBN 978-4-569-77423-7
- 価格 500円
本書を読んで最初に考えたことは、規則(法律)と法則はどこが異なるのかということだ。広辞苑を引くまでもなく、評者は「人間が決めた取り決めを規則といい、宇宙(人間以外と言っても良い)が決めた取り決めを法則という」と考える。つまり、人間の都合によって変更できるのが規則で、変更できないのが法則だと言っても良い(だろう)。もちろん、この境界にあるものもある。「人を殺してはいけない」は、規則である場合もあるし、人間が決めたことではないという立場からは法則であるが、そうではないという立場からは単なる規則である。
だが、科学というのはすべて法則を求める行動だと評者は考えるので、宇宙が決めた事柄を解き明かすことの面白さを、本書はその一端でも示してくれていることは、評者は大いに評価したい。表紙にあるメッセージ「子どもにちゃんと説明できますか?」というより、本書に説明されている高校科学レベルの38の法則(本文230ページ)を「自分自身に説明できますか?」と置き直した方が適切である。少なくとも現代の多様な生き様の中で、本書の「法則」はすべて理解し説明できなければならない科学的常識である。その意味で、本書はあらゆる方々に読んでいただきたい。
中でも、アインシュタインの法則、万有引力の法則、ドレイクの法則、ドップラー効果など38の内の3分の1が宇宙や天体の理解に必須の法則である。地球科学を専門とし、東京大学教授として活躍された著者の説明は、大変にわかりやすく、図版もとても適切で楽しい。通勤通学電車中でも気軽に読むことができる本。それもこれも、たぶん著者の年の功だ。それが評者にわかるのは著者と同じ年に生まれているからだ。
なお、本書は都内の大書店で購入したが、やはり都内のコンビニでも見かけた。ベストセラーになればいいな。