- 文研出版
- AB判、30ページ
- ISBN 978-4-580-82062-3
- 価格 1,366円
とても素敵な星のメッセージ書。もちろん詩人・谷川俊太郎さんの文だから、星占いの本ではない。星の世界に行ったおじいさんが「ぼく」(多分小学一年生くらい)に残してくれた望遠鏡を主軸にしたホームドラマの詩である。ぼくのおかあさんは、コンピュータ作動の望遠鏡を大学時代に購入したという人。読んでいるだけで心が温まってくる本であり、こんな本を子どもに買ってあげるお母さんがいて欲しい。あいにく評者の場合、娘が星にとり付かれることはなかったが、保育士になった。そして子どもたちを連れて来たプラネタリウムで評者が解説させてもらったときは「あぁ、俺も…」と感じたのだった。
だが、本書の価値をさらに高めているのが、えびなみつるさんの絵だ。天の川を背景にしたさそり・いて・たて・わし付近の星図など、額に入れて飾っておきたいほどの名画だ。その他、月の満ち欠け・火星・土星・M42・M45・渦巻銀河・彗星・流星など、すべて勝るとも劣らない名画ばかり。見開きで描かれた星図がどの辺の星野なのか、探していただくのもよいかもしれない。
星が好きで、星をよくご覧になっている方々が語り描く星の話は、やっぱりひと味もふた味も違う。その感性の鋭さを感じることも、星の普及者にとっては大事なことのはずである。そのような意味で、本書は幼児向けの絵本ではない。