- 扶桑社
- 255ページ
- 定価 946円
無から宇宙が始まり、ビッグバンを経てインフレーション、そして太陽系誕生から100億年を経て太陽は滅亡、やがてダークエネルギーとダークマターの支配となる。また、もしも太陽がもっと重くても軽くても人類は生まれなかったとか、地球が23.4度傾いていなければ、あるいは1日が違った時間だったなら、これも人類史は異なっていたかもしれないとか、ともかく宇宙史について考えることは本当に面白い。また、今やブラックホールはブラックではなくなり、青天白日の下に明かされるに至った。本書は、そのような現代宇宙論の現時点で明白になった様々な事象を、やさしく解き明かしてくれる好書。国立天文台の本間先生が書いた本である。新書版なので安価に入手ができることも大きな利点。
これまでにも先生が書かれた複数冊のブラックホールをテーマとする本を熟読させてもらったが、本書もおすすめの本となった。特に第四章の巨大ブラックホール発見までの道のりは、ブラックホール発見史の珠玉である。誰にも判りやすく説明されており、人類がブラックホールと実際に出会うまでのプロセスが明確に描かれている。先生にとっては、第五章〜の方が大事かもしれないが、素人にとっては第四章の方が重要だ。
第六章のこれからの宇宙像と人類の未来では、地球に人類がいることが宇宙人存在の最大の証拠というご主張もごもっとも。とても勉強になる本である。