Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

宇宙人の見る地球

  • 須藤靖 著
  • 毎日新聞社 刊
  • 18 x 13cm、200ページ
  • 2014年5月
  • ISBN 978-4620322605

2009年米国国立科学アカデミー紀要に、グーグル・アースの衛星写真で見た世界各地の8510頭の牛と2974頭の鹿(特に角が長いノロジカ)の食事中や休息中の胴体の向きが磁極方向に向いている確率がもっともも高いという研究が発表された(参照)。特に鹿は頭を北に向けていることが多いという。おまけに高圧線直下に近いほどその傾向が高いこともわかったという。そんな面白い研究などを本書のあちこちで知ることができるので、本書評で特に推薦させていただくことにした。

東京大学宇宙物理学教授兼「役に立たない科学のどこがワルイねんオモロければエエねん協会」会長兼「全日本不ケータイ同盟」設立者という著者の肩書きにふさわしくチョー独創的な内容は、筆者も全部読ませてもらった3冊の「須藤靖の本」(著者によるとベストセラーにはなっていないそうだ)の最新刊として特にオモロかった。

「P×I=1の法則の発見」「対称性の自発的破れ」「0×∞≠0」など、タイトルだけでは内容の見当がつかないものが多いが、中でもっとも注目されるのが不ケータイの不見識だ。筆者も今後ぜひ不ケータイを目指そうと決意した。なぜなら、筆者は電車の優先席で電源を切らずにふんぞり返ってスマホと遊んでいる若者を叱りとばす毎日だからだ。まぁこれ以上は申し上げるまい。もちろんハッブルかルメートルか、宇宙原理と人間原理など、専門的話題も注目ですよ。