- 丸善出版 刊
- 11.5×17.5cm、219ページ
- 2014年10月
- ISBN 978-4621088623
筆者は鞄の中にいつも万年筆と付箋紙を入れて交通機関を利用するが、本書を読み始めた日、あいにくインクが切れてしまい、電車の中で付箋紙を貼りまくる次第となった。おかげで200ページちょっとに多数付箋を貼りまくり、無くなってしまったほどだ。つまり、内容が濃い=筆者が知らなかったことが多いということ。
著者は、東京天文台(現国立天文台)で太陽系の小天体研究で活躍され、研究員としてNASAに行かれたこともあったが、江戸時代の天文学の研究でも実績を残された方。ガリレオやニュートン、ケプラーなどの西洋天文学史は日本でもポピュラーだが、我々を日本の天文学史にも眼を向けさせてくださったわけ。本書は、言ってみればその総集編だ。
著者も前書きで説明くださるように、正しくは東洋天文学史ではなく、東方(オリエント)天文学史だろうが、インド・中国・韓国・東南アジアの天文学史に続いて、日本の天文学を古代・中世から江戸・明治まで詳しく丁寧に記述してくださった。
個人的に懐かしかったのは、かつて五島プラネタリウムの学芸委員会委員としてお世話になり、お宅にお邪魔したこともある宮地政司先生のこと。本書のコラム1に記事がある。また、コラム2にはアジア人で初めて望遠鏡を覗いた人がシャムの王様だったことも…。八代将軍吉宗は暴れん坊ではなく、天文将軍でした等々、みなさんもきっと目が見開かれることだろう。