- あすなろ書房 刊
- 21.4 x 20.4cm、30ページ
- 2009年10月
- ISBN 978-4-7515-2529-6
- 価格 1,260円
評者は子供が4人もいるが、まだ孫はいない。初孫が誕生したら、ブラックホールのそばをすり抜けることで相対性理論を確証させるという実験を孫に託してみたい。飛行機では空間を飛んだことがあるが、地上から50cmも(垂直跳びを含む)飛んだことがない評者にしてみれば、夢のまた夢だ。
だが、それを本書がやってのけてくれた。本書はSFだが、れっきとした宇宙物理学者が書いたもの。筆者は、ハーバード大学卒業、オックスフォード大学で博士号取得、コーネル大学とコロンビア大学の教授を歴任したという凄い学者だ。
なので、理論は極めてしっかりしていて安っぽくない。また、一見子供向けの絵本ではあるが、ハッブル宇宙望遠鏡の画像が使われていて絵本といってよいかどうかもあやしい。こんな子供向きの本はこれまで日本になかっただろう。
あらすじは、未だ発見されていないプロキシマ・ケンタウリの惑星系に5代も重ねて(孫の孫の子供)探査旅行に行く途中で、その子がやんちゃ心でブラックホールに近づいたために時間の遅れで11万年後の宇宙に戻って来てしまうというもので、おとぎ話的浦島伝説の格好を呈している。多少無理のあるストーリーだが、評者は実に良い本を入手したと思っている。
未来を託すべき子供が夢見るために絶対お勧めの本だ。