- グラフィック社
- 176ページ
- 定価 1650円
題名どおり手のひらに乗るサイズの小さな本だが、漢字が多く、おまけに読み仮名が書かれていない、決して子供向きの本ではない。しかも内容は明らかに大人が読む本。フランス人の著者はジャーナリストで作家。著者紹介では、自然やエコロジー関係の著作が多いとある。いわゆる科学書とは言いがたいが、月の歴史から始まって、地形、月の運動、月の見え方、地球潮汐、暦など、前半では月の科学に終始し、中盤では月が関わる宗教、魔女信仰、芸術、文学、漫画や映画と続く。後半で、ここが従来の月に関する作品ではほとんど真面目に扱われない詩歌、童謡、月に関わる植物、犯罪、恋愛、性行為、美容(特に髪の毛)、料理、洗濯など様々な事柄が語られている。
評者は月夜に犯罪をすすめるわけでは当然ないが、月光がくまなく辺りを照らしてくれる月夜は、犯罪が起こりやすいそうだ。室内侵入盗や屋根歩きなどが横行し、金をくすねるなど…気をつけましょう。また、欧米では満月の夜、刃の輝きが失われないように、古いナイフは月光を避けて棚に収めておく方が良いと信じられているという。ホントかな?
月が昇ってくるときは自然界で、樹液が根から葉の隅々まで行き渡るように、人間の性的欲望が高まるという。これもホントかな? ともかく、本書は小さいにもかかわらず、月のありとあらゆる雑学が盛り沢山なのである。お勧めします。